ジョバンニ・バッティスタ・シドッチ神父の遺骸(1)
国立科学博物館の研究施設と標本収蔵施設は、上野と白銀台にある展示施設とは別に、つくば市の研究学園都市の一角にある。毎年この時期、つくばの研究施設ではオープンラボを開催して一般に開放している。今年は4月22日に開催された。
植物研究部、地学研究部、動物研究部、人類研究部、理工学研究部など、いろいろな部門の研究室や収蔵庫を研究者たちが総出で紹介してくれる、年に一度のイベントだ。
研究紹介スペシャルトークという企画の中に、今回特に興味をひかれた題目があった。それは人類学研究部・坂上和弘さんによる「江戸の宣教師シドッチ神父について」(12:30~13:00)である。そのスペシャルトークを拝聴しに出かけた。
シドッチ神父が日本に遺したもので有名なものは、上記の写真に示す東京国立博物館が所蔵する「親指のマリア」だ。薄い銅板に油絵の具で描かれ、大きさが縦約26センチ、横約21センチの小さな絵だ。銅板の油絵は持ち運びに便利であるため、大航海時代に沢山制作され、宣教師と共に世界各地に運ばれている。「親指のマリア」の他に東京大学が所蔵する「救世主像」も銅板に描かれた油絵だ。
「親指のマリア」は、シドッチ神父の尋問にあたった新井白石が著した「西洋紀聞」の中に、シドッチ神父との対話から聞き出した諸外国のさまざまな知識と共に、図入りで紹介されている。
目黒区の碑文谷にある碑文谷教会、通称サレジオ教会は、『江戸のサンタマリア』にささげられた教会だ。江戸のサンタマリアとは日本に上陸するとすぐに捕縛され、江戸茗荷谷にあった切支丹屋敷に生涯幽閉されたシドッチ神父が携帯していた「親指のマリア」のことだ。1954年に、西洋紀聞の差し絵をヒントに製作された当時の形を模した額縁が碑文谷教会から東京国立博物館に寄贈されている。
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