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2015年3月23日 (月)

一粒の麦

一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが死ねば、多くの実を結ぶ。(ヨハネ12・20-33)

17年間、東京国立博物館で働いて来た。保存修復管理官そして保存修復課長として、東博の保存全般について指揮をとって来た。5カ年計画を3回重ねることで、診断、予防、修理の各分野の充実と連携を図り、臨床保存学の樹立を目指し、目標の段階に到達したと、自分なりに安堵している。

定年を迎え、新しい年度からは新しい課長さんが保存修復課を指揮することになる。これまで私が目指した目標がこれから先どのように成長し、発展するか見通しが効かないように感じてしまう自分がいる。しかし、私の手の中から手離さない限り、臨床保存学の今後の進化はないと思う。

一粒の麦が地に落ちて死ななければ、一粒のままである。その通りである。臨床保存学という種が今以上に博物館関係者に受け入れられて行くためには、一粒のままではいけない。個人でできる範囲で働くことから脱皮して、組織を組織らしく機能させ、全てのデータを共有し、全てを関連付けて課としてのまとまり、館に対する役割が機能する組織とは何かを考え続けて来た。そのプロセスが自分にとっての研究そのものである。後は任せよう。

これからは課長職を卒業し、また一人で動くことになるが、以前の一人とはどこか異なるような気がする。

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