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2013年8月 6日 (火)

保存という名のひかり(48) 東京芸術大学大学院美術研究科保存科学専攻(5)

東京芸術大学大学院美術研究科保存科学専攻(5)

芸大では修士論文を書くためのテーマとして選んだ「明治初期油彩画の下地組成」の研究の他に、実に様々な勉強と経験をさせていただいた。保存技術彫刻の本間先生、同級生の長井武志、桜庭裕介等と共に奈良京都の古寺に出かけて行ったX線撮影調査、保存技術日本画教室に通っては間近に見せて頂いた古典模写の様子と、その後に一緒に頂いたお茶、絵画組成研究室の坂本一道助教授、寺田栄次郎助手、学生たちと進めた英語の技法書の輪講、寺田さんから教わった鉛白と亜麻仁油を混ぜて数時間練り上げて、油絵の具を作る方法、そして石膏室で毎朝誰よりも早く出かけていって描き進めた石膏デッサン。

歌田先生からデッサンの必要性を日頃から聞いていたし、初めのころは歌田先生や創形美術学校修復研究室の三ツ山さんによく見ていただいた。しかし、芸大に徐々に馴染むに従って修復研究所へ足を運ぶ機会もめっきり減った。しかし、歌田先生から聞いたデッサンについては、毎朝7時前後だったと記憶しているが、朝一番か2番目に石膏室に入り、石膏の形を木炭で写し取るトレーニングを繰り返した。僕の周りには、それは見事なデッサンが、書きかけの状態でイーゼルに掛けておいてある。何日もかけて徐々に仕上がって行く様をみると、とても太刀打ちできるものではないことが直ぐに解る。それでもめげずに通った。今考えると顔から火が出そうな気持になる。

今年、当時お世話になった杉下龍一郎先生が瑞宝中綬章を授与され、卒業生が集まって先日お祝いの会を催した。芸大で学んだ頃からすでに35年近くの年月が流れた。

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