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2011年6月20日 (月)

保存という名のひかり(その41 歴博での研究(10))

歴博での研究(10)

母と特に相談した訳ではなかったが、父に本当の病状を知らせることは二人ともしないことに決めていた。母の落ち込み方を見る限り、母の口から病状を伝えることはとてもできそうにない。そのことを思うと、自分の口からも伝えられない。余命が僅か半年程度なのだから、知らせる事にどんな意味があるのだろうかと、考えていたに違いない。今から考えても、父が自分の病気に対してどのように思っていたのか、それもわからない。

父は毎週末に帰宅が許されたため、週末は入院先の病院から一時帰宅して自宅で過ごし、日曜日の午後には病院に戻るという暮らしが始まった。僕は金曜の夜行バスを利用して渋谷から松江に向かい、松江駅から木次線に乗り換えて出雲八代までディーゼルの1両車に乗り、都合12時間ほどかかって実家に辿り着く。病院と自宅の間の父親の送り迎え、店を一人で続ける母親の助けなど、慌ただしく時間が過ぎて月曜の夜行バスに乗って再び松江から上京。そのころの母は持病のリュウマチが酷く、手や足の指はすっかり変形してしまって、やっと歩ける程度の状態であった。

だから店と言っても、父親がいない状態では大したことはできない。店は食料品を扱い、乾物と生鮮食料品として鮮魚を売っていた。大型冷蔵庫からの出し入れ、魚をさばいたりすることなど、鮮魚はもっぱら父親の仕事であった。

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