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2011年6月 3日 (金)

保存という名のひかり(その34 歴博での研究(3))

歴博での研究(3)

Garry Thomsonsさんは僕が最も敬愛する研究者の一人です。論文は難解で、理解するのに骨が折れました。が、コツコツと読み進めて、彼の代表的な論文はほとんど読みました。その結果、Thomsonさんを自分の師匠とすることに決めました。

Thomsonさんは、残念ながら2007年5月23日に81歳でお亡くなりになりました。僕には大切な思い出があります。歴博に入ってすぐの1985年に、ローマのICCROMに長期滞在することになったのですが、どうしても師匠に会いたくて途中ロンドンに寄り道して、ひと月を師匠の元で過ごすことができました。師匠が59歳の時です。

物理学の公式を操りながら、相対湿度の変化、光による劣化などについて現実の現象を数式で表現することで、将来の予測を可能にする師匠の方法は、自分にとっても魅力的な学問の進め方でした。桐箱の中の相対湿度が周りの環境変化とともにどのように変化するかを表すのに、微分方程式を導入して考える必要があったので、大学で一度諦めた物理学の勉強をもう一度始めました。

いろいろとわざと難解なことを考えたりもしましたが、結局は減衰振動を表現する微分方程式で事足りました。しかし、歴博ではそんな基本的な事柄を納得が行くまで研究できたものでした。

師匠の奥様はタイの皇室に近い方で師匠はNoyと呼んでいました。ロンドン郊外のお宅にお邪魔したさいにお会いしましたが、僕の家内が道子(ミチコ)という名であるからか、当時の美智子皇太子妃殿下のことを懐かしがって話してくださったことを思い出します。師匠のご自宅の庭には小屋があって、そこは瞑想する場所だと説明をいただきました。

とても懐かしい思い出です。

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