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2011年2月14日 (月)

保存という名のひかり(その31 森田恒之先生の教え4)

森田先生の教え(4)

森田先生からはその他にもいろいろな教えを数え切れないほどいただいた。国立歴史民俗博物館に職場が変わると、先生が主宰された共同研究会に共同研究者として招いて下さった。僕の目に映る森田先生は、西欧の古典絵画技術の謎解きを得意とする研究者という面でしかなかったが、企画された共同研究会は保存そのもののテーマばかり。保存処置で使用された合成樹脂の歴史とその正確な種別、蒸散型害虫忌避剤の開発と応用、近代化遺産の保存など、様々な研究テーマで私の全く知らない研究者を全国から招いては、自由・闊達な議論をする研究会だった。30歳で初めていわゆる研究者の仲間入りをした自分には、めずらしいことばかりでした。

オゾン層破壊物質として使用が禁止となった臭化メチルに替わり、現在は一般的な薬剤として利用されるようになったピレスロイド系薬剤は、民博時代の共同研究で検討が進められたもので、20年以上も昔のことである。そのころ日本の誰もまだ、臭化メチルが使用できなくなるなどと考える人はいなかった。そんなころからすでに、将来を見通した研究に着手していたのだと、この頃やっと実感する次第です。

徹底した現場主義に立ち、博物館現場に必要な道具としての薬剤の研究は、保存の最前線で今の私たちを支えてくれています。僕は臨床保存という言葉を通じて、今出来ること今実行する、今しなければならないことを今実行する、そして同時に将来の見通しをもつという現場主義を主張しているつもりですが、実は遥か以前から大先輩がいたのでした。

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