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2010年7月21日 (水)

保存という名のひかり(その13 海外留学2)

海外留学(2)

 創形時代の1983年の夏、どうしても他所の空気が吸いたくて、イギリスのロンドン大学考古学研究所で開催された出土遺物のレプリカ作りのセミナーに、貯金をはたいて自費参加を決めた。レプリカ作りには全く興味などなかったが、どんな人たちと会えるのか、どんな雰囲気なのか、保存に関わる人たちと僅かでもいいから接点を持てないかと必死だった。

 セミナーの講師は、確かデンマークから来たラーセンという人で、考古遺物のハンズオン(触って体験する)を目的として、レプリカ製作を本格的に行っていた人だったと思う。当時の僕の給与からすれば、参加は無謀とも言えるものだった。

 あの時のロンドンは確か記録的な暑さで、アスファルトが溶けるほど気温が上がったと記憶している。飢え乾いた僕にとって場所や内容はもう何でも良かったのかもしれない。

 レプリカ作りは自分ではやらないが、後にレプリカ展示が多い歴博に入ってからは、そのときの経験を通じて、レプリカの作り方を知っているのは大いに強みになった。

 セミナーはジム・ブラックと言うイギリス人が企画し、彼を通して参加手続きをおこなうようになっていた。以後毎年、彼は様々な分野のセミナーを企画した。その後ジムは、保存関連の書籍販売を始め、大きな学会には必ず販売ブースを設置して本を販売していた。いろいろと融通もきかせてくれる便利な存在である。だから、セミナー参加以降は、海外の学会に出かける度に彼と顔を合わせるようになった。

 この出会いも海外に兎に角出かけたお陰かと思う。

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