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2010年6月30日 (水)

保存という名のひかり(その10 国立歴史民俗博物館のこと3)

国立歴史民俗博物館のこと(3)

 歴博の研究者は、博物館の一般業務よりも研究に重点をおいていたし、そのことが許されていた。展示や整理など博物館業務的に関しては、研究部が主体となった委員会が内容を決定し、具体的な実行を管理部に属する展示課や資料課の職員に任せていた。展示課や資料課には、近隣の県から豊富な経験をもつ学芸員が人事交流という形で3年間程度歴博に勤務し、博物館業務、いわゆる学芸員が行う専門的なルーティンワークを行っていた。大きな組織での経験は元の県に戻ってから役に立つという理屈で交流がなされた。実は、研究部の先生は研究に集中、管理部の一般事務官は文化財が扱えない、その谷間を埋めるため、展示や整理などの文化財を直接手に取って行う仕事を県から来た学芸員の方々にお願いしている部分が相当あった。

 私は博物館の保存環境に関する研究を続けていたが、館内の状況は前回述べたように良好で、ほとんどあらゆる面で深刻な問題は見当たらなかった。即、現実的な対応の必要性が低いため、博物館の運営と文化財保護の具体的な在り方について、余裕をもって研究的に見つめながら、研究に没頭できた、ある意味で幸せな環境であったと思う。

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