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2010年5月28日 (金)

保存という名のひかり(その2 プロローグ2)

プロローグ(2)

 ラッキーが我家にやって来たころ、僕の体重は急激に増えつづけていて、75キロを越えた時もあった。多分人生で最高値であったと思う。ちなみに現在は60キロ前後で、それを15年以上維持している。元々風邪をひきやすく、疲れるとすぐに扁桃腺が腫れて風邪気味になり、季節の変わり目には寝込むこともしばしば。当時はさらに、尿酸値も高く通風直前の状態で、また尿道結石のためにエビ反りになって苦しむほど、まことに不健康であった。こうした急激な体調の変化は、強いストレスがもたらす不摂生が主な原因だったと思う。つまり、体が必要とする以上に飲み食いし、それもカロリーが高く、栄養も偏った物を食べ過ぎたのだろうと思う。食べ物でストレス解消など考えたことのない僕に、それほどまでにストレスをもたらしたものは、阪神淡路大震災だった。

 1995年1月17日阪神淡路大震災という、泰平の日本を震撼させた災害は僕の身も心も激しく揺さぶった。それまで、文化財保存の学問として科学的原理に根ざした保存科学を成熟させるために、国立歴史民俗博物館で絵画の技術と材料、そして保存環境についての基礎研究に11年近く没頭してきた。いつになるか分からないけれども、保存に役立つ知識や技術の探求を目的として研究をしてきた僕にとって、今すぐ役に立たなければ意味がない災害現場の姿は、自身の無力さと現場仕事の凄まじさを突きつける以外の何物でもなかった。大震災は震源から遠く離れた千葉に住む私の生活を瞬時に変えた。

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