博物館研究vol.47, No.1, 523号 ・特集「資料の公開と保存」
一昨年から財団法人日本博物館協会が発行する機関誌「博物館研究」の編集委員を務めています。2012年1月号では、自分自身の専門性を前面に出した「資料の公開と保存」の特集を組ませて頂いた。
その時の編集後記を紹介します。
「公開と保存は相反するものではなく、まして矛盾するものでもありません。両方がなければ文化財の継承は難しい。否、不可能かもしれません。近年ますますその感を強く抱くようになりました。公開と保存は両輪であり、どちらも大切なものです。文化財を乗せた博物館号の推進力をつかさどる根幹部分です。
これまで対立的に捉えられてきた公開と保存に対する考え方を変える必要があります。また、保存は専門家の領域、公開は一般向けということではなく、保存するという行為自体も文化財に接近することであり、その点では公開することと同じ意味をもちます。公開、保存、研究は総て文化財への接近であり、如何にしてその接近を文化財にとって有益なものとするかが、今は問われていると思います。
そこで1月号は、文化財と人間との関係性を考えるための特集「資料の公開と保存」を組んでみました。
国立民族学博物館の園田直子氏には民族資料の公開と保存を支える予防保存の観点から、
神奈川県立生命の星・地球博物館の平田大二氏および山下浩之氏には隕石資料の公開と保存について、
東京都恩賜上野動物園の氏には動物園における資料の公開と保存について種の保存の観点から、
そして東京国立博物館の神庭信幸が拙稿として公開と保存を支えるデザイン分野と保存分野の関係について、
それぞれ寄稿頂きました。
年頭所感で銭谷眞美会長が触れられたように、東日本大震災で被災した文化財の保存に関する救援活動はこれからが本番です。公開と保存が揃った本格的な博物館活動が一日も早く復興するように祈りたいと思います。
(編集委員 東京国立博物館 神庭信幸) 」



















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