2016年12月 9日 (金)

プレセピオ

クリスマスが近づくとプレセピオを押し入れから出して飾り付ける。正確に言うと、2016年の場合、待降節が始まる11月29日からがクリスマスシーズンということだろうか。

プレセピオは、キリストの生誕の場面を作り出すためのさまざまな人物をかたどった人形で、大きさや、形、嗜好がいろいろとある。カトリック教会に行けば、たいていはお御堂の入り口付近に飾り付けてある。

クリスマスイブまではキリストは飾られていない。まだ生まれていないから。クリスマスからマリアとヨゼフの間に飼葉桶に眠るキリストが登場する。だから、今はまだキリスト不在のプレセピオ。

プレセピオは新年を迎えて、1月の第2週(正式には主の公現)のころまでずっと飾られたままで遥か昔にローマで暮らしたころ、新年の教会を巡って、プレセピオを楽しんだ。仕掛けがあって動き出すもの、イルミネーションがまぶしく輝くもの、等身大の大きな人形など、結構面白かったことを思い出す。

我家には、ローマの友人がくれた人間の指の大きさのプレセピオと、リサイクルで見つけた陶器製のやや大ぶりのプレセピオがある。

小さい方は丸盆の中に飾り付けて、家の中で場所を適当に移し替えながら楽しんでいる。

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大きな方は棚の上に飾り付けるが、実は東方の三博士の一人が行方不明で、足りない状態だ。どこかで替わりを探さないといけない。

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しみじみと一年を振り返るこの時期の風物詩だ。

2016年12月 7日 (水)

落ち葉

11月の終わりころ、わが家の小さな庭は落ち葉と紅葉でとても賑やかでした。ブナの木にはメジロ、ジョウビタキなどが飛んで来ては、盛んに木に巣くった虫を啄んでいました。丁度体調が悪く、何日も家の中で過ごしていた時期なので、季節が移ろう様子をじっくり見ることができました。

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今では木々もすっかり葉を落とし、寒空の中でいよいよ冬本番を迎えようとしています。まだ若干の枯葉がのこるブナの木の枝に、エメラルドグリーンの山繭がぶら下がっていました。以前はよく見かけたものですが、最近は珍しい。
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ハクモクレンの枝に何やら籠のようなものが見えました。近づいてみると、藁やビニール、糸状の植物繊維など、いろいろな材料で編まれた巣のようです。どんな鳥がここで巣作りをしていたのか、全く気付きませんでした。
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2016年12月 6日 (火)

歌田先生が平成28年度文化庁長官表彰被表彰者に決定

文化庁長官表彰は「文化活動に優れた成果を示し,我が国の文化の振興に貢献された方々、又は、日本文化の海外発信,国際文化交流に貢献された方々に対し、その功績をたたえ文化庁長官が表彰する。」とある。歌田眞介先生が表彰されることになった。受賞者のリストはこちらを参照。「2016120202_besshi01.pdf」をダウンロード

歌田先生は保存修復の分野で油彩画の技法材料、修復技術について研究と実践を続けてこられた方だ。創形美術学校修復研究所の所長として、民間の研究者の立場で長く活動されてきた。

国がやらないことを、弱小な一民間機関が徹底してやり続ける。油彩画の修復は、修理前、途中、修理後と、あらゆる段階でカルテや記録写真を作成し、整理して恒久的に保管する必要がある。40年以上も前にそのことを説き、実際に修復研究所で始めたヒトである。

多くの人たちがその影響を受けた。私もその一人と任じている。東京国立博物館の保存修復カルテ作りは始まってまだ20年にも満たない。歌田先生の強い思いを引き継いだつもりだ。

国がやらないことを民間が始める。すると国は丁度いい出来合いの頃を見計らうように国の機関に招き入れる。こうしたやり方が幾度も繰り返され、今日に至っている。これが日本流とするならば、民間がしっかりしなければ国の将来はないことになる。

歌田先生、おめでとうございます。

薪ストーブのフェンス

いよいよ冬到来、薪ストーブの季節になりました。

孫たちがやってくる前に安全対策を施さねばと、いろいろと思いめぐらしました。実は昨年、孫たち滞在中は薪ストーブの使用を控え、替わりの暖房器具を使用したので、結構寒かった記憶があります。

木製のフェンスをつくることを念頭に、シーズン間際までいましたが、孫が寄りかかったり、よじ登ったりした際の頑丈さ、火災に対する安全性などを考えると、鉄製の製品が一番安心できるとの結論。はっきり言えば、自分の大工技術に自信がなかったということです。

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デンマーク製『ハースゲート』のフェンスを設置したところです。まるで薪ストーブちゃんが柵の中に閉じ込められているようですが、慣れると結構いいものです。大小の部品を組み合わせて、大きさや形を自在に設計できる、優れものです。

ウーバー Uber に乗りました

10月下旬、まさに米大統領選挙最終盤のワシントンに、講演のため出かけてました。雨に降られることなく快適な1週間の滞在でした。そして何よりも美しい晩秋の景色は、それまで数か月の間、準備に追われてへとへとの状態の自分を癒してくれるのに十分でした。

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ヒラリー・クリントンさんとドナルド・トランプさんがデッドヒートの選挙戦を演じている割には、首都ワシントンは静かなもので、全くそうした気配は感じることがありません。

ワシントン滞在最後の夜、夕食に招かれてワシントン郊外にある友人宅に出かけました。近所には、中心部から続く長い森の公園や、たくさんの大使館関係の建物がある落ち着いた地域です。友人の裏庭には奥さん用のアトリエ建設が始まったばかりで、彼の自慢の庭は現在はちょっと荒れていました。アトリエが完成したら今度は庭造りだと言っていました。

さて、夕食をいただき、ひとしきり思い出話や世間話に花が咲き、時間は10時を少し回った頃でした。そろそろいとまをということで、タクシーを呼んでもらえるよう尋ねると、ウーバーをすでに手配してあるとのこと。『ウーバー』なんて聞いたこともなし。なんのことだか全くわからず、聞いてみた。日本で言えば『白タク』に当たるのだろうか。

ウーバーを運営する会社に、自家用車を所有している個人が登録すると、タクシーのように人の送迎ができるシステムで、ちょっとした小遣い稼ぎになるようです。『白タク』というと、なんだか怖そうですが、さにあらず。本物のタクシーに乗っても、ぼられるとかの危険はしょっちゅう聞きます。でもウーバーはネットにつながっているため、履歴が完全に残ることから犯罪の抑止効果があり、万が一問題が発生すると、利用者の通報により、瞬く間にネット上で全体に広がり、その結果問題を起こしたドライバーはその後一切の仕事が来なくなるという。ネット社会を上手く使った監視システムでしょうか。限られた資源を有効に使うシェアリングという考えに即した車の利用の仕方とも言われています。

今回迎えに来てくれたウーバーは、友人がよく利用する近所の黒人女性で、ほとんど新車のRV車で、道案内はスマホでした。娘の結婚式費用を少しでもねん出するためにウーバーを始めたそうです。丁度、収穫感謝祭前のワシントンの夜道でした。


New島根県人会発足

番組制作会社の中島さん、アナウンサーの山本さんと久しぶりに呑み会を開きました。(山本ミシェールさんのfacebookをご覧ください。)


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海外向け放送NHKワールドTVで、今年上半期に文化財の保存について取り上げていただいた番組でお世話になった方々です。

話が盛り上がっていくと、三人とも両親が島根県出身であることが分かったのです。そんなこと全く考えたこともなく、集まった三人なのですが。丸もちと生海苔のお雑煮、笹ガレイの一夜干し、のやき(かまぼこ)など、文化圏が同じであることが何とも不思議な癒しの気分になりました。

そこで急遽、県人会を結成する次第となり、年明け早々には新年会を計画しておるところです。だんだん。

ドナルド・トランプさんが映画に

レンタルビデオ屋さんで洋画を2本借りてさっそく鑑賞。

どちらもヒュー・グラント主演のラブコメディー。彼の映画は毒気がなくて、無条件で楽しめるのが好きです。男の哀愁も一寸あるし。

最初に見たのが『ツゥー・ウィークス・ノーティス』。市民に愛される公民館を守るために、その地域の開発を進める不動産屋に弁護士として就職したサンドラ・ブロックが、社長のヒュー・グラントといろいろあって、最後は結ばれるという何の変哲もないストーリーですが、これが結構面白い。

そして驚いたことに、何と途中、慈善事業のパーティーの場面に本物のドナルド・トランプさんが役名もトランプのまま、やはり不動産関係のやり手として登場する。2003年封切りの映画だが、トランプさんの容姿はほぼ現在と同じ。

映画では、サンドラ・ブロックとの約束を守って、公民館を残したヒュー・グラントは最後は社長の座を追われて失職するが、はたしてトランプさんは弱者にどんな政治をしてくれるだろうか。




2016年9月25日 (日)

小野博柳さん

1998年4月、私は国立歴史民俗博物館から東京国立博物館へと職場を変えた。

14年間の歴博生活で培った研究成果を、是非とも国立博物館での活動に応用してみたかった。当時の私にすれば、その歴史の古さと組織の大きさから東博は何か得体が分からない巨大な密林のような印象に映っていた。

博物館での保存活動を軌道に乗せるために、何から手を付ければよいのか、直ぐにはわからない。なにぶんにもそれまで東博には縁もゆかりもない身の上である。

そんな状況の中でお会いした方が刀剣研磨師・小野博柳さんである。本館の地階の薄暗い部屋で黙々と刀剣研磨の作業を続けている人だ。職員ですら、ごく限られた人しかその作業場所には入ったことがなく、一見すると人の出入りを拒んでいるようにも見えた。

そんな中、いわゆる常識や慣習でものを考えないようにして、ずけずけとその部屋にお邪魔してみた。ご本人と話をすると、文化財としての刀剣研磨にかける思いがひしひしと伝わってくる。「僕らの仕事は磨によって刀を減らすことではない。先輩の磨を尊重し、文化財として相応しい状態の刀を維持することだ」と。

僕が、ゆくゆくはこの作業風景を館内職員はもとより、一般の来館者にも見ていただき、技術の継承や文化財保存の実態を知ってもらいたいと、怒鳴られるのを覚悟で小野さんに持ち掛けた。すると、小野さんからは意外な反応が返ってきた。

「私たちもこの仕事をもっと知ってもらいたいと思っている。決して神聖な場所でも、非公開な作業だなどとは露にも思っていない」と。それの日以来、小野さんとは息が合った。僕は勝手に同志だと思っている。

東博に千本弱の日本刀剣が収蔵されている。その維持管理には大変な労力を要する。手入れと言われる定期的な保守点検作業(メンテナンス)、そして必要最小限の磨継と呼ばれる研磨と白鞘の修理。これ等の作業を滞ることなく、日々流れるように進めていかなくてはならない。

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その仕組みづくりに小野さんは尽力くださった。その小野さんが今月亡くなった。心からご冥福を祈ります。


2016年9月12日 (月)

夏の景色

箱根の森でひっそりと咲くアジサイ

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快晴の象潟
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小川が流れる八幡平の森
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森の中の家
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ゆめ牧場のヒマワリ
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一寸早い収穫

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白老のチセ
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ポロト湖に沈む夕日
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2016年8月 3日 (水)

気になる熱放射型冷暖房装置

岩手県八幡平市にあるピーエス工業のIDICを訪ねた。今から20年近く前から気になって仕方がない空調について実体験をするためだ。

ショールームと工場を兼ねた建物の中は極めて快適。建物の前には広葉樹が茂っているお陰で、窓から差し込む光は木漏れ日。その分、建物内部の温度上昇は抑えられている。冬は葉が落ちるために、日が差し込んでその分暖かくなる。

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オフィスの中にはバナナ、ハイビスカスなどの南方系から、詳しい名前はわからないがスプルスに似た北方系まで、多様な植物が生き生きと育っている。ハイビスカスはオフィスの気候に順応した結果、毎年2月ごろに開花するという。

建物の中は風のない無風の状態で、部屋全体が軽く冷えている。洞窟やムロの中で感じるひんやりとした空気感と同じである。換気のために窓の一部がわざと開けてあるが、暑い外気の影響は感じられない。

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室内の温度調整は、暖房器具のオイルヒータなどで見かける羽が何枚も連なったラジエターに冷水を循環させ、そこから出てくる冷たい輻射熱で建物内部を冷やす。その時にラジエターの表面は結露して水が垂れるため、ラジエターの下には雨樋状の結露水受けがある。結露によって空気中に含まれる湿気も取り除かれる。

この冷たい輻射熱によって室内は洞窟や地下室、あるいはムロに入ったかのようにひんやりとした環境になる。通常のエアコンが冷たい空気を部屋中に拡散させる代わりに、冷たい輻射熱を部屋中に静かに伝えるのが本装置の特徴である。例えて言うなら、氷の塊が部屋の中にあるような状態である。

風がないので、部屋の中は極めて静か。最近はワインセラーにもこの方式を使う例が増えているとか。ワインセラーはもともと古いお城の地下室のような場所なので、同じような環境をつくることができるという訳だ。

敷地内には装置を家庭生活で実感できるようにと、ゲストハウスが用意されている。

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ゲストハウスには数台の装置が設置されていて、丁度間仕切り用のレースのような感じにも見え、オシャレだ。

台所のパントリーにもこの装置が設えられ、ワインや野菜が適温下で保管されている。野菜は、風のない冷たい環境下で保管されると、普通の冷蔵庫の野菜室の中でよりもずっと長持ちするそうだ。

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循環する水を冷やすために汲み上げられた地下水は、使用後地上の小川を伝って再び地中に戻される。

冬はラジエターを循環する水を温めるのので、暖かな熱がラジエターから放射されることになる。

このように、年間を通じてこの装置を稼働させることによって、室内の気温の較差を小さくなり、マイルドな温度環境になる。冷やした空気、あるいは温めた空気を送風する従来の冷暖房よりもエネルギー使用量もかなり小さくなるそうだ。

オフィス内にはピアノがあり、時々はコンサートも開催されるとか。窓の前に広がる森、森の空気に包まれたような室内、そんな中で静かに演奏を聴いてみたいものだ。

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«象潟の風景

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気になる1冊

  • ★井川 聡: 『超高層から茅葺へ』
    海鳥社 2012 日本設計の池田武邦さんがハウステンボスの設計にかけた情熱とその源泉について、ドキュメンタリー的に記されている。茅葺に興味があったので手に取ってみたが、ハウステンボスの設計思想とその実態について初めて知ることが多く、ぜひ一度行ってみたくなった。
  • ★ヨースタイン・ゴルデル著 猪苗代永徳訳: 『オレンジガール』
    命のバトンタッチの意味。
  • ★籔内佐斗司: 『壊れた仏像の声を聴く 文化財の保存と修復』
    一緒に仕事をする機会には恵まれませんが、いつも気になっている方が仏像と修理について書き下ろした本です。
  • ★バージニア・リー・バートン 著 まなべ まこと 監修 いしいももこ訳: 『せいめいのれきし』 改訂版
    恐竜研究の第一人者・真鍋真氏が監修した絵本。絵本と言ってもかなり高度な内容です。生命のバトンタッチを分かりやすく描いたもの。
  • ★日本博物館協会 (編集): 『博物館資料取扱いガイドブック-文化財、美術品等梱包・輸送の手引き-』
    美術品梱包輸送技能取得士認定試験の制度が始まって4年が経ちます。認定試験を受ける人のための教科書であるとともに、美術品の展示、輸送に携わる人々にもとても役立つ本です。
  • ★ケヴィン・ヘンクス著 多賀京子訳: 『マリーを守りながら』
    自分にも娘がいるが、少女のころの彼女の気持ちを理解、解りあえることは難しかった。父親と幼い娘の間の気持ちの揺らぎを描いた作品。
  • ★藤沢修平: 『三屋清左衛門残日記』
    60歳で定年後、特任研究員として再雇用された時、これから先の時間を如何に過ごすか想像できなかったとき、ご隠居という言葉を理解しようと思って読んだ本。
  • ★ローズマリ・サトクリフ著 灰島かり訳: 『ケルトの白馬』
    イギリスの山肌に描かれた巨大な白馬の絵。その起源を求めて太古の物語にヒントを得て描かれた本。敵に滅ぼされた部族に生き残ったわずかな人々が新天地に旅立っても、彼らの先祖が馬乗りの名手であったことを地上に永遠に刻み込むために、敵方のために描いた白馬。
  • ★K.M.ベイトン著 山内智恵子訳: 『駆けぬけて、テッサ』
    血統には恵まれてはいるが、視力に問題を抱えたサラブレッド・ピエロとともに、自分の道を懸命に探し続ける少女テッサが苦難を後超えて、グランドナショナルで勝利をつかむ物語。馬の心理描写が素晴らしかった。
  • ★夢枕獏: 『大江戸恐龍伝』
    真友の立原位貫さんが装幀と各巻扉絵を描いています。