2012年5月22日 (火)

博物館研究vol.47, No.1, 523号 ・特集「資料の公開と保存」

一昨年から財団法人日本博物館協会が発行する機関誌「博物館研究」の編集委員を務めています。2012年1月号では、自分自身の専門性を前面に出した「資料の公開と保存」の特集を組ませて頂いた。

その時の編集後記を紹介します。

「公開と保存は相反するものではなく、まして矛盾するものでもありません。両方がなければ文化財の継承は難しい。否、不可能かもしれません。近年ますますその感を強く抱くようになりました。公開と保存は両輪であり、どちらも大切なものです。文化財を乗せた博物館号の推進力をつかさどる根幹部分です。

 これまで対立的に捉えられてきた公開と保存に対する考え方を変える必要があります。また、保存は専門家の領域、公開は一般向けということではなく、保存するという行為自体も文化財に接近することであり、その点では公開することと同じ意味をもちます。公開、保存、研究は総て文化財への接近であり、如何にしてその接近を文化財にとって有益なものとするかが、今は問われていると思います。

  そこで1月号は、文化財と人間との関係性を考えるための特集「資料の公開と保存」を組んでみました。

国立民族学博物館の園田直子氏には民族資料の公開と保存を支える予防保存の観点から、

神奈川県立生命の星・地球博物館の平田大二氏および山下浩之氏には隕石資料の公開と保存について、

東京都恩賜上野動物園の氏には動物園における資料の公開と保存について種の保存の観点から、

そして東京国立博物館の神庭信幸が拙稿として公開と保存を支えるデザイン分野と保存分野の関係について、

それぞれ寄稿頂きました。

  年頭所感で銭谷眞美会長が触れられたように、東日本大震災で被災した文化財の保存に関する救援活動はこれからが本番です。公開と保存が揃った本格的な博物館活動が一日も早く復興するように祈りたいと思います。

(編集委員 東京国立博物館 神庭信幸) 」

博物館資料取扱いガイドブック

財)日本博物館協会編「博物館資料取扱いガイドブック-文化財、美術品等梱包・輸送の手引き」が「ぎょうせい」から出版されました。定価2800円です。

最近、美術品の梱包・輸送にあたるベテラン作業員、取扱いを熟知したベテラン学芸員の定年による引退で、後継者の養成が次第に困難な状況になってきています。

日本博物館協会はこうした状況を打開して、美術品の取扱いに優れた技術者を育成するために「美術品梱包輸送技能士」という資格制度を創設しました。3級から1級までの資格認定によって、経験のない業者が梱包輸送の作業に参入しにくい環境作りを目指しました。

資格認定の前提として研修が必要となりますが、「博物館資料取扱いガイドブック」はそのための手引書として編集されました。技術者を目指す業界の方々のみならず、日常的に美術品などを取扱う機会が多い学芸員の方々にも有用なガイドブックになっていると思います。

各章の内容と執筆担当者を紹介します。

1.美術品の取り扱いの基礎知識(神庭信幸)

2.素材別の留意事項(神庭信幸)

3.陶磁器(今井敦)

4.漆芸品(小松大秀)

5.金工(伊藤信二)

6.刀剣(原田一敏)

7.学装作品(相澤邦彦)

8.掛物(名児耶明)

9.巻子(松原茂)

10.屏風(松原茂)

11.茶道具(名児耶明)

12.染織(小山弓弦葉)

13.古書・歴史資料(高橋裕次)

14.考古資料(井上洋一)

15.彫刻(岩田茂樹・浅見龍介)

16.甲冑(池田宏)

17.自然史標本(松浦啓一)

18.民俗・民族資料(園田直子)

<資料編>

2012年5月20日 (日)

カモミール宇宙

いま、シラン、ツユクサが咲いています。爽やかな5月の終わりに咲き始める、少し湿気を帯びた気候になると咲き始める花です。白に淡い黄色の混じったアヤメも一株だけ咲いています。

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小ぶりのカモミールの花が小さな花壇いっぱいに咲いています。上から覗くとまるで小宇宙が広がっているような感じです。カモミール星団、あるいはカモミール星雲のような感じです。

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ハニーサックルにミツバチ

庭のハニーサックルが満開です。アーチの下に立つと甘い香りが漂ってきて、人も誘われてしまいますが、ミツバチは本気で誘われています。

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最近ミツバチの数が減少していると言います。確かに庭にやってくるミツバチの数がここ数年少なくなっているようにも思います。ところがハニーサックルが咲くと同時に、沢山のミツバチがやってきて、必死に蜜を吸っています。

ミツバチはまだいる。安心しました。とにかく無我夢中で蜜を探していました。

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2012年5月19日 (土)

盛岡のジャージャー麺

吉永小百合さんが盛岡市のお店で、ジャージャー麺を食するテレビコマーシャルをJR東日本が流した。その時から毎日長蛇の行列ができるようになったと、県庁に勤める地元の方から聞いた。

そのお店は、県庁の目の前にある桜山神社に向かう参詣道の一角にある。「白龍」と書いて「パイロン」と呼ぶお店で、地元では古くからあるお店だそうだ。そこの名物が「ジャージャー麺」。

きしめんのような平たい面に味噌とキュウリが乗っかり、それを自分でよくかき回して、味噌をしっかりと麺に絡ませてから好みで酢、ラー油、にんにくを加えて食す。食べ終わると、そのお皿の中で生卵を溶いて、そこに熱々のスープを加えて飲む「チィタンタン」。ジャージャー麺は小、中、大の3種があり、各400円、500円、600円。チィタンタンは50円。

僕が食べに入った時もしばらく待たされ、席に着いてからもかなり待った。ジャージャー麺小を注文して30分ほどして出てきた麺はいたってシンプル、お味の方もいたってシンプル。だからやみつきになるのだろうなと思う。食べ方も店員さんがきちんと教えてくれるが、それでも周りの人の食べ方を見よう見まねで学習しながら、食べる。

特に食べ終わったお皿をそのまま店員さんに返して、そこに卵を溶いたスープが入って戻ってくるという仕掛けは、初めての人間には分かりにくい。初めのうちは何が起こっているのかさっぱり訳がわからなくて、しきりに回りを見渡し、隣のお客に事の次第を確かめると、それがチィタンタンと言うスープと分かった。

面白かった。

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東北三都市巡回展-ルーブル美術館からのメッセージ-出会い

このあいだ盛岡に出かけた時、岩手県立美術館で開催中の「東北三都市巡回展-ルーブル美術館からのメッセージ-出会い」を拝見する機会がありました。ルーブル美術館の友人ヴァレンティーヌさんが輸送・展示に来たこともあって、是非拝見しておきたかった展覧会でした。

震災は、様々な関係を断ち切る辛いものですが、新たな出会いを信じて生きましょうというメッセージでしょうか、出会いの場面を描いた20数点の作品で構成された優しい展覧会です。

岩手県立美術館では、来年の2月2日(土)から4月14日(日)まで、レスキュー活動で救出された陸前高田市立博物館の美術品を展示する予定だと聞きました。その時も是非訪れてみようと思います。

北上・展勝地・北の番屋

16日、17日と2カ月ぶりに東北を訪れたました。必ず桜が咲くころここに戻ってくるぞ、って3月の頃は思っていたけど。なかなか思うようにはいきません。陸前高田の人たちとは、花見を一緒にしようと楽しみにしていましたが、実現できませんでした。お楽しみは来年に延期です。

冬の間は、安全のため南回りのルートを通って陸前高田に向かうので、一ノ関によく泊まりました。雪の心配がない今の時期は、交通量が少なくて走り易い北上に宿をとります。

北上市には北上川という大きな川が流れていますが、その河岸は桜並木が2キロ以上続く展勝地という遊歩道があります。展勝地は今年の春先にJRの駅張りポスターにもなった桜の名所。参加者が思い思いの桜の写真を持った49人の集合写真です。通勤に使う鴬谷駅で毎日あのポスターを見ながら、必ず行くぞと決めていたのですが。

北上で泊まるとよく出かける「北の番屋」という呑み屋さんがあります。先日呑みに行って、マスターの高渕司さんに桜の話をしたところ、自分が撮影した写真を見て下さいと、わざわざメールで送ってくれました。北上川にかかる珊瑚橋から見下ろしたカットと、桜並木を歩きながら撮影したカットです。来年こそ必ず訪れると心に秘めています。

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2012年5月13日 (日)

第7回 柳瀬荘の茅葺屋根の燻煙

埼玉県所沢市にある柳瀬荘の母屋「黄林閣」は、江戸時代に建てられた庄屋の屋敷を移築したもので、柳瀬荘は松永安左ェ門の別荘として1930年頃立てられました。ここも東博の施設です。

ここ数年の間、毎年5月、9月、12月頃になると、竈に火を入れて煙を出し、茅葺屋根の燻煙を行う実験を実施しています。今年は5月11日でした。5月の頃は運が良ければ敷地内の竹やぶに美味しそうな筍が顔をのぞかせます。今年は3個ほど採れたので、取り立ての筍を使ってお釜でご飯を炊いて、筍ご飯を作ることにしました。

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燻煙の目的は大量の煙を室内にこもらせ、茅葺の中に浸透させて、中にいる虫やカビを駆除することです。本来の生活ならば毎日煙を出していますから、それほど煙の濃度は高くなくてもよいのですが、年3回程度の竈焚きですので、思いっきり煙を充満させます。

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煙が充満した室内で、カラス退治のための携帯用レーザーを発振すると、スターウォーズに出てきたライトセーバーのような、光の刀剣ができました。カッコいいと思わず言ってしまいました。約5時間の煙たい作業ですが、最後の方で、お釜で炊き上げた筍ご飯が美味しそうに湯気を上げていました。作業終了後、ゆっくりと頂戴しました。

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スモーク・チキンの完成

もし鳥を一羽丸ごと食べるとしたら、こんな風な食卓になるのでしょうか。1週間ほどの時間をかけて、仕上がったスモークチキンをテーブルに並べてみたところです。美味しそうだけれど、ちょっと不気味な感じもします。我家では一人一羽は無理です。

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市場で「ナカヌキ」と言って、内臓が外してある鳥を購入し、水洗いしてからソミュール液に丸一昼夜漬けこみます。ソミュール液は好みの味にしますが、今回は水に韓国の塩、ローレル、バジル、黒コショウ粒、三温糖を加えたものにしました。一昼夜漬けた後、軽く水洗いして冷蔵庫の中で一昼夜乾かします。その後、燻煙を2日間程度行ってから、70度のお湯の中で2時間茹でます。70度は絶対に守らないとうまくいきません。最後に一日燻煙をかけて完成です。

実際の食卓はこんな感じで、スモークチキンを薄く削ぐようにスライスしてハムのようにいただきます。トーストと生野菜をスモークチキンと一緒にお皿に盛ったところです。

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2012年5月12日 (土)

矢野顕子さん

先日、矢野顕子さんが東博にお出でになった。特別展をご覧になり、その後、舞台裏と言うことで保存修復課の施設を見てもらいました。

矢野顕子さんのことはお名前と有名な曲「春咲小紅」はよく知っていたけど、それ以上の知識はありませんでした。

今日の夜、勤めからの帰り、YOUTUBEを開いて「矢野顕子」を検索したところ、「中央線」という曲をみつけました。どこかやるせない曲です。実は今日、ある人を叱ったので、申し訳ないという気持ちで自分自身がやるせない気分で帰宅の途中でした。

矢野顕子「中央線」

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気になる1冊

  • 神庭信幸: 博物館における包括的保存システムの構築に関する研究
    http://webarchives.tnm.jp/docs/conservation/pub/
  • ★ポール・ギャリコ著 矢川澄子訳: 『ほんものの魔法使い』
    ちくま書房、2006
  • ★台東区HP: 『東京国立博物館に憩う 東京国立博物館に聞く』
    http://taito-culture.jp/
  • ★日高真吾・園田直子編: 『博物館への挑戦-何がどこまでできたのか』
    三好企画、2008